わたくし、実は名刺の研究もしておりますので、変わった名刺を見るとそわそわしてしまいます。
そういう意味では、文具プランナーの福島槙子さんの新しい名刺は、かなり攻めているというか、本当の意味で「新しい」名刺なので、彼女のブログで拝見したときに「おおお!」と思いましたね。
先日、イベントでお会いしたときに実物をいただくことができましたので、じっくり拝見&うわさの「あの機能」を試してみました。
活版印刷の名刺
わたくしは活版印刷の名刺は作ったことがありませんので、やはり羨ましいなと。
よく聞くお話で、「腕のいい活版職人の印刷物は、凹んでいない。」と言われますが、こちらは逆に「活版らしさ」をきっちり表現されて、いい感じに凹んでいます。
一番下の段は、ちょっと字と字がくっつき気味だったりして、そのあたりも活版感が満載です。手仕事の感じが残っているっていいですよね。
また、印刷の色がいい。
ピンクのようなオレンジのような、フラミンゴ色とでも表現しましょうか、長く名刺を作っていますが、なかなかこういった色で印刷しようという人はいませんよ。
これをサラッとやっちゃうところがかっこいいではないですか。
そして、うわさの「機能」とは、万年筆をはじめとした「インクの吸取紙として使えること。」です。まきさんのブログにも「文房具として使える名刺」と書いてあります。
いや、デザインだけだったら、こういうコンセプトに近いものは他にもあったかと思うのです。遊び的なね。でも今回、本気で作り抜いちゃったのがすごい。
ミシン目も実際に入ってますし、紙も吸取紙として適したものを厳選。
吸取紙の名刺なんて、普通の印刷工場さんにお願いしても、なかなか動いてくれませんよ。どこですかそんなフレキシブルな工場さんは!?
と思ったら、昨年2015年のISOT日本文具大賞で最優秀を獲得した、万年筆のペン先掃除キット「SUITO」を発売している神戸派計画さんのOEMブランド「神戸派工場」さんで作られたそうで。
それなら納得ですよね。
インクと紙のこと、一番研究されている工場さんと言っても過言ではないでしょう。
今回は名刺ですので、厚みもちょいとありますね。すごく立派な名刺の仕上がりになっています。
文房具として使える名刺。
さて、ドキドキしながら吸い取り実験、やってみましょうか。
もったいないような申し訳ないようなで、実際にミシン目をピリピリする人はかなり少ないのではないかと思います。
でもわたくし、名刺の研究家という肩書きでわがまま申し上げまして、2枚いただきましたので遠慮なく使わせていただきます。(まきさんありがとうございます)
万年筆で字を書きます。
わたくし太字が大好きだものですから、もうインクがガンガン出てきます。「水びたし状態」になっていますので、すぐに乾くなんてことは、まずありません。
これを吸い取ってみましょう。
これくらいのインク量ですと、押さえすぎると字がブチャっと広がってしまうことがありますので、軽く押さえますよ。
おー!きっちり仕事してくれました。
「文房具として使える名刺」にいつわりなしですね。一本取られました。m(_ _)m
勝手に次回作を楽しみにしてしまうのは、気が早いでしょうか。
名刺とギミック。
名刺っておもしろいけど難しいもので、見た目や仕掛けを一生懸命凝っても、「あの変わった名刺の人」という印象になってしまい、「実際どういう人なのか」が伝わらなかったら意味がありません。
かといって、熱いメッセージがあるのに地味過ぎる外見だと、スルーされてしまう可能性が高いと思われます。
そのバランスが「ちょうどいい名刺」が「いい名刺」なのだろうと。
そういうことを考えますと、まきさんの名刺は、ものすごいギミックを突きつけておきながら、全体的には通常の名刺の体を為しているという、「いい名刺」だと言えます。(偉そうにスミマセン)
いやー、刺激受けてます。
わたくしも自分の名刺、ちょっと気合い入れて新しいのを作ってみたくなってきました。