6/6(水)に開幕となるミラクルエッシャー展の内覧会にお邪魔してきました。今回、Mozu君の錯視トリックノートと錯視トリックふせんをミュージアムショップで販売していただくことになりまして、お招きに与った次第です。(写真はノートの90度起き上がる虹を撮るMozu君)
エッシャーというと、多くの方の頭に浮かぶのは、きっとこれですよね。
【エッシャー8つのキーワード『錯視』】エッシャーの独創的な表現といえば、実現不可能な建築表現や永遠に変化し続けるパターンなどの「ありえない世界」。この作品《滝》は数学者ペンローズ親子の論文に登場した「ペンローズの三角形」にインスピレーションを受けて制作されました。《滝》1961年 pic.twitter.com/CcWH2pbyEg
— ミラクル エッシャー展 (@escher_ten) 2018年2月20日
わたくしも幼い頃、夢中になって水の流れを指でなぞったものです。
そしてこちら。
【who is escher?】
1941年、エッシャー43歳。オランダのバールンに移転し晩年まで定住します。曇りや雨の多いバールンの気候はどうやら彼と相性がよかったようです。作品制作に没頭した結果、代表作の多くはここで制作されています。展覧会、まさに梅雨入りと共に開幕です。
《ベルヴェデーレ》1958年 pic.twitter.com/pCjM6dCsrA— ミラクル エッシャー展 (@escher_ten) 2018年5月31日
パッと見、普通の絵として成り立っているのがすごいですよね。でもよく見ると矛盾だらけ。
ザ・エッシャーという感じです。
150点の圧倒的作品群
さて、エッシャーは錯視、だまし絵(トロンプ・ルイユ)の大家として知られていますが、それだけではない多面性を今回ガツンと思い知らされます。
特に、イタリア各地の風景(エッシャーはオランダの人ですが奥様がイタリア人)を緻密に描いた作品群は新鮮です。しかも制作のペースが速い!ものすごいエネルギーを感じますね。
他にも、宗教画や広告画など、知らなかった分野をたくさん見られてお腹いっぱい大満足であります。
エッシャーは版画家である
そして、忘れてはならないのが、エッシャーは版画家であるということ。
あの繊細で緻密な絵を見て、(見る人が見ればすぐにわかるのでしょうが)わたくしなんかは版画というイメージが湧きません。
しかし、彼は一生涯版画家であり、刷りまですべて自分一人で行っていました。つまり、印刷です。
木版画、リトグラフ、メゾティントなど、いろんな版画の手法にチャレンジし、作品としての「印刷物」を残しています。
そう、わたくしたち文具ファンの大好物、全部印刷物なんですこの展覧会は!
生誕120周年のエッシャーですから、時を経て黄変している紙も多数ありましたが、インクをよく吸いそうな味わいのある紙、そして乗っているインク!じっくり近くで堪能することができます。
【who is escher?】
ある左利きの版画家が言いました。「筆で描くのは難しいが、版画は左右が反転するので、スムーズに彫れる。」と。左利きの人にとってすでにこの世界は「さかさまの世界」なんですね。エッシャーは左利きでした。そして、エッシャーが愛したバッハも左利きでした。
《描く手》1948年 pic.twitter.com/5nYAlS06h1— ミラクル エッシャー展 (@escher_ten) 2018年5月29日
これも版画とは、、、ついついモチーフや構図のアイデアに目がいってしまいますが、驚きしかありません。
敷き詰め(繰り返し模様)
そして、敷き詰めです。
【who is escher?】
エッシャーは5人兄弟の末っ子。兄のひとりで結晶学者になったB.G.エッシャーから『結晶学時報』という本を進められ、そこに掲載されていた「繰り返し模様」に感銘を受けます。これは「正則分割」という彼独特の表現に多大な影響を与えました。
《発展Ⅱ》1939年 pic.twitter.com/VHRyIRGiyq— ミラクル エッシャー展 (@escher_ten) 2018年5月14日
例えばこういうものですね。当時、ほぼエッシャーしか取り組んでいなかったこの分野、今では数学者の研究対象にもなっている学問ですが、彼はそういう教育は受けていなかったというのもびっくりです。
【escher×Johann Sebastian Bach】
社交嫌いで黙々と作品を制作し続けたエッシャーの唯一の趣味はバッハの音楽を聴く事だったと言われています。美術と音楽、表現方法は違っても変容と循環を繰り返すそれぞれの作品。バッハが亡くなって約150年後、エッシャーは生まれます。《昼と夜》1938年 pic.twitter.com/jLyUzl3GYE— ミラクル エッシャー展 (@escher_ten) 2018年5月11日
そしてこの作品。完璧すぎてため息しか出ません。美しい。
今回は、彼が正則分割と呼んでいるこの手法の集大成ともいえる《メタモルフォーゼⅡ》が見られます。
4mにもおよぶ大作で、黒と赤と白、グレーのコントラストによる循環、永遠というメッセージが突き刺さってきます。特に赤の鮮やかさが際立っていました。
これはぜひ実物を見ていただきたいです。
ミュージアムショップで買ったグッズや、絵の中に入れる体験コーナーのことは、また追って書きますね。